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【4】タオルが取り持った国際交流 ワールドカップを楽しむ

 私は神戸ウイングスタジアムの北1次ゲートでボランティアをしている。チケットの確認やボディチェック、缶瓶等の廃棄が主な仕事。そうそう、ペットボトルは持って入れません。2リットルものを下げて入って、「うそー、ペットボトルあかんの」。入れ換えた紙コップを両手に抱えて難儀しているお父さん結構いたので、お知らせまで。
 7日のスウェーデン対ナイジェリア。スウェーデンのサポーターの男性が、通訳ボランティアの女の子と何やら話ながら、私の方を見ている。視線の先は、私が腰に下げているスウェーデン応援用ののタオルのようだ。サポーターの人たちに親近感を持ってもらおうと、目立つように着けていた青と黄の派手なやつ。通訳の彼女いわく、「あなたのタオルを売ってもらえないかって言ってるんですよ」。
 聞けば東京、大阪で探し回ってもなく、スタジアムでもすでに売り切れているらしい。「でも彼に悪いから」と遠慮気味に私の腰を見つめる。「いいですよ。汗ちょっと拭いてるけど。新品やし、記念に」と渡そうとすると、彼の表情がぱっと明るくなった。
 「幾ら?」「どうぞ。差し上げます」「いや、それはだめだ。僕はちゃんと買いたい」「1600円で買ったんやけど」「じゃあ、2000円で」と1000円札を2枚出すので、1枚もらっておいた。大感激だという言葉を残して、奥様とスタジアムの方へ彼は消えた。「600円の国際交流やな」と兵庫県警の担当官も笑っていた。
 しばらくして今度はチケットを忘れたスウェーデンの女性。鞄の中を探すが、見当たらない。そこへまた通訳の彼女。ホテルへ問い合わせをして部屋を探してもらうことに。「チケットあったそうですよ!」確認がとれて無事に入場できた。
 試合はスウェーデンの勝利だった。退場時に、チケットを忘れた女性は通訳の彼女を見つけると抱きしめた。「あなたのおかげで楽しめたわ」。あの兄ちゃんは頭に巻いたタオルを指さして近づいて来た。「このタオルは勝利の女神さ」
 桂吉弥、ワールドカップを楽しんでます!

産経新聞夕刊2002年6月13日より


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